2019年4月16日火曜日

驚きの連続 大学院のオリエンテーション

 驚きの連続でした。情報量過多で、脳が何度もシャットダウンしかけました。4月6日に開かれた大学院のオリエンテーションです。

 事前に送られてきた資料に書かれていた開始時間は9時半。通学時間は1時間ですので、余裕があるはずなのに、私は朝からドタバタしていました。中3の娘は起きてから着替え、洗面、歯磨きを5分で終わらせますが、私は30分以上かかります。これが50代女性の辛いところです。

 化粧もしなければならないし、髪だって整えなければならないし(分け目から白髪が見えるから隠さなきゃ)、洋服だってだぶついたお腹まわりを隠せるか、清潔感があるかチェックが必要だし、、、と自分が納得でき、かつ、他人を不快にさせない身づくろいには時間がかかるのです。

 加えて持ち物も多い。コンタクトを付けた目で近くを見るときにかける老眼鏡、そして、「ドライアイ」の目の調子が悪くなったときに使う目薬。さらに、コンタクトが痛く感じられるときに外して使うコンタクト洗浄液とケース、メガネ2つ(遠く用と近く用)。それに、口紅だって持たなければならないし、筆記用具も、、、とあれこれ必要なものをそろえているうちに時間があっという間に経ってしまうのです。子育て真っ最中ですので、夜は家事と子どもの世話に追われますので、前日に準備する時間の余裕はありません。

 今日のうっかり・ドタバタ①携帯電話を忘れる

 ようやく準備が整い、ヘアアイロンでかろうじて整えた髪を振り乱しながら自転車に乗って駅へ。そして自転車を公共の自転車置き場(自転車がひしめき合っていて、入れにくい)に何とか止めて、改札口に着き、忘れずに持ってきたパスをバッグから取り出して気が付きました。携帯電話を忘れていたことを。今や、携帯電話は、メールやラインという連絡ツールとしてだけでなく、辞書、カメラ、電車乗り換えやニュースの検索機能としても多用し、日常的に頼り切っていますので、忘れるととっても不便。で、慌てて夫に電話をしました。

 土曜の朝、起きたばかりという夫がのんびりとした声で電話に出ました。私は言いました。
「携帯忘れたの。申し訳ないけど、車で駅まで持ってきてくれない?」
「もう、8時45分だよ。9時半から始まるだろう? 間に合わないと思うよ」
「うーん、今すぐ家を出てくれれば、ギリギリ間に合うと思うけど」
「初日から遅れたくないだろう?」

 夫は面倒なのに違いない、とあきらめ、そのまま学校に行くことにしました。

 電車を乗り継ぎ、学校に着きました。9時20分です。でも、入学式に見た顔ぶれが見当たりません。不思議に思いビルの守衛さんに聞くと、オリエンテーションは別館で開かれるのだと言います。慌てて、別館に走ると男性が1人だけ自動ドアの前に立っていて、首をかしげながら、ドアの側のインターフォンを操作していました。

 「この人、入学式で見たわ」と安堵しながら、「おはようございます。オリエンテーションはこのビルなんですよね」と話し掛けました。
すると、その男性は「自動ドアが開かないんですよね」と言います。インターフォンのボタンを押しても、応答がありません。待つこと数分。たまたま、出てきた人にドアを開けてもらうことが出来ました。

 今日のうっかり・ドタバタ②受け付け時間の勘違い

 そうこうするうちに、本館から教務課の女性2人が来て、玄関ホールで受け付けを始めました。そこで、判明しました。受け付けは「9時半から」だったのです。朝の私のドタバタは何だったのでしょう。9時半からだったら、携帯電話を取りに帰る時間もあったのに、と自身の勘違いを恨めしく思いました。そして、「きっと皆、ドアが開かなくて、どこかで待っているんだわ」と呑気に考えていた自分に苦笑し、そこに男性がいてくれたことを「天の助け」と思うほど、ありがたく思ったのでした。

 さて、オリエンテーションが始まる前にトイレへ。そして、鏡の前に立つとなんと、受験のときに同じくトイレで一緒になった同世代の女性がいたのです。あちらも私に気が付きました。

「一緒で嬉しいです。あのときもトイレでお話しましたよね」と私。
「そうですよね。私たち、くさい仲ということで・・・」と笑うその女性。遠い昔に聞いたような冗談が出てくることこそ、”同世代”です。なんと、頼もしいのでしょう。

受験のときも、トイレの鏡の前で、会話をしました。
「面接で何を着てくるか、迷いました。面接をしたのがもう何十年前も前ですから」と苦笑するに、彼女はこう返しました。
「本当に。少なくともジーンズを履いてこなくて良かったわ。わっはっはっ」

そんな、トンチンカンな、でもお茶目な会話をしてしまうのが、開き直った中年女性なんですね。それも、絶対50代以上。まだ、かすかに羞恥心を持ち合わせている40代女性にはできません。

さて、トイレで身づくろいを終えて、パソコン室へ。

そこでは、立派なパソコンがたくさん並び、それぞれの椅子に名前が貼られています。私の大学院には1年コース(医師ら)と通常の2年コース、働いている人が通いやすい3年コースに分かれていて、1年コースから前から順に名前が書いてあります。私の番号は3年コースの3から始まる番号で、後方の席です。

 同じ3から始まる番号に座る左の男性は、今日提出するはずの、「健康調査表」などの書類をその場で書いています。30代ぐらいでしょうか。後から聞くと、この男性は遠方から新幹線で来ている男性医師でした。働き盛りの勤務医。日々忙しくて、書類を書く時間もなかったのでしょう。そういえば、同じ順番で着席した入学式には、この医師は参列していませんでした。

さて、私の右隣は、不思議な、とらえどころのない雰囲気の男性です。頭髪に白髪が混じっていて、その風貌から私と同世代かな、と踏んでいました。

今日のうっかり・ドタバタ③ITの説明に着いて行けない

最初に行われたITの説明。与えられたログインネームとパスワードのセットが2種類あり、これをどのサイトで使うかの説明当たりで、頭が混乱してきました。でも、説明者は、次々と画面のページをめくって進んでいきます。

「えっ、どうやったら次のページに進むの?」
「えっ、どうやってログインするの?このパスワード使えない!あっ、ロックされてしまった!」
「えっ、どうしよう!わからない!!!」

私は後方に座っていましたので、前方に座った方々の画面が良く見えます。みな、説明に着いていっています。平然と、画面のページをめくっている。私は途中でついに観念し、手を挙げて、「すみませーん」と助けを求めました。
 
それからは、スタッフの女性が私の横に専属について説明してくれました。そして、間もなく、私の前の列に座る、あの同世代の女性も「すみませーん」と手を挙げました。そして、他のスタッフが彼女の横に。そうなんです。中年になると、こういうことに着いていくのが大変なのです。

が、”同世代”のはずの、私の右横に座る白髪交じりの男性は、「ふーん」「ふーん」と言いながら、どんどん画面をめくっていきます。
「この人何者?」と思っていると、その男性はぼそりとつぶやきました。
「へー、すごいじゃん」
この声のトーンの高さと、「●●じゃん」という表現で分かったのです。
「この人、意外に若い」と。

そして、もう一つピンと来ました。
「この人、IT関連企業から来た人だ」と。

入学式の研究科長の挨拶で、「我が大学院は多様性を重んじます。医師・看護師・製薬会社に勤務する人など医療分野からだけでなく、留学生、また、IT関連やジャーナリズムの分野からも来ています」と説明していたのです。

その”異色”の2人のうちの1人は私、そして、もう1人がこの人に違いありません。
だって、パソコンの画面のめくり方の速さと「すごいじゃん」という表現。私は、画面をめくることすら難儀していて、ましてや、このシステムがすごいかすごくないかなど、まったく分かりません。その男性は、何かと戸惑う私に、「そのパスワードの初期設定、●●●●ですよ」とさりげなく教えてくれました。そして、その後も質問するたびに丁寧に教えてくれました。

ようやく、1時間あまりの、IT説明会が終わりました。私は隣の男性にお礼を言いました。
「ありがとうございます。助かりました」
その男性はひょうひょうとした表情でこう答えました。
「ぜんぜん、です」
礼儀正しく、これまた、若い人が使う表現で。

 さて、次は構内の案内。こぎれいなロッカールームに行くと、1人1つずつロッカーが割り当てられていました。娘の通うインターナショナルスクールでは、小学生から1人1つロッカーを割り当てられていますが、私自身が学校でロッカーを割り当てられるのは、初めての体験。図書館には英語で書かれた専門書が書庫にずらりと並んでおり、その知的な雰囲気に久しぶりに感動しました。大学卒業以来、大学の図書館に足を踏み入れることはほとんどありませんでしたので、とても嬉しい体験でした。

 こうして、うっかり・ドタバタが続いた大学院オリエンテーションの午前中は終わったのでした。

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