2018年5月25日金曜日

我が家のガーデニング 

 風がさわやかなこの季節。我が家の小さな庭で、ガーデニングを始めました。中古の家を購入し、一連のリフォームが終わった後の家族4人総出の庭仕事。手入れの行き届かなかった庭がきれいになり、デッキでの食事も楽しくなりました。

 この家を購入したのは中2の娘が幼稚園の年長だった夏。8年前のことです。103歳のおばあさんがお手伝いさんと住んでいた一軒家でした。ご主人がご存命のころは大きな敷地だったそうですが、ご主人が亡くなりおばあさんと4人の息子さんが土地を相続。息子さんらによりますと、バブル期で相続税が高額だったため支払えず、土地を5分割して3つを売って支払い、1つにおばあさんが住む家を建て、もう1つを4人兄弟の末っ子が引き継ぎました。

 私たちがこの家の購入を決めたのは、そのおばあさんが施設に移って間もなくでした。先方にはおばあさんがご存命の間にその家を処分しなければならない理由があったらしく、家財道具がそのままの状態で、売りに出されていました。

 同じタイミングで家を探していた私たちにも事情がありました。私の健康問題です。当時住んでいた賃貸マンションには結婚して間もなく住み始めましたが、引っ越しして1年もたたずに私は体調を崩し、住んでいた10年間にがんを含めいくつかの病気を患い、体調は全く好転しませんでした。

 間に娘を授かりましたが、お産はとても大変で、娘を出産できて幸運だったというよりは、私の本来の運の強さで悪運を何とか払いのけ、娘をかろうじてこの世に迎え入れることが出来たという状況でした。

 日本には昔から家相を信じる文化があります。占いなどに凝ったことのない私もさすがに病気の連鎖の中で「この家が悪いのではないか」と疑い始めていました。そこに引っ越すときは全く気が付きませんでした(不動産会社からの説明もなかった)が、そのマンションの敷地の横には小さな墓地があったことも、私の気がかりでした。

 引っ越しを何度か目論みましたが、良い物件が見つからなかったり、契約直前に相手都合で断念せざるを得ない状況となったりで、なぜか叶わなかった。最後の方には、「この家が私を離したくないのでは?」と思うほどだったのです。

 そのような経緯から、夫と話し合い、賃貸物件探しは止めて思い切って家を購入しようと決断。予算に限りがあり、希望のエリアに更地を買って家を建てたり、新築の建て売りの家を買うのは無理でしたので、築浅の中古を購入することに。不動産会社を通じてあれこれ探しているうちに見つかったのがこの家だったのです。築10年の物件でした。

 「とにかく、だれかが亡くなったとか、病気で苦しんだとか、墓地が横にあるとかいわく付きの物件は絶対嫌だ」と思っていましたので、その点については不動産会社の担当者にしつこく確認しました。この家は、長寿の方が住んでいた(そして、その家では亡くなっていない)ため、縁起の良い家だという印象を持ちました。

 100歳を超えたお年寄りが住んでいたせいか、築浅だったにも関わらず、家の中も外も全く手入れが出来ていず、使われていない部屋はカビだらけでした。でも、よくよく見るとシンプルでしっかりとした造りで、リフォーム後のイメージが出来る家でした。

 買い手もなかなか付かないようでしたので、先方に値引きをお願いし、「こんな家なんか買いたくない」と嫌がる夫を「リフォームしたら、絶対良い家になるから。それに、毎月のローン返済額はこれまでの賃料とあまり変わらないよ」と説得して、購入を決めたのです。

 まずは、購入時に家の中を和風から洋風に全面リフォーム。引っ越しが終わり、住み始めてから次年度からのリフォームと予算計画を立てました。

 翌年、着手したのが駐車スペース。その2年後に庭に小さなデッキを造り、「万年塀」と呼ばれる灰色の高い塀を取り壊し白いフェンスを設置。そして昨年、この家に引っ越ししてから生まれた息子の部屋を造って、収納スペースを広げる大がかりなリフォームが終了。やっと今春、庭に手を付けることが出来たのでした。

 引っ越しの大きな理由だった私の体調は、その家に住み始めてから憑き物が落ちたように上向きました。家相や風水などを頑なまでに信じなかった夫も今は、「やっぱり、あのマンションが悪かったのかなぁ」と振り返ります。

 息子を出産したのがこの家に引っ越しして半年後で、「胎盤と一緒に体内の悪いものが全部出ていったんだね」と母を含めて何人もの女性に言われましたので、引っ越しと出産の相乗効果で、私の体調が好転したのかもしれません。

 で、ここでようやく今日の話題の「ガーデニング」です。参考にしたのは「はじめての小さな庭づくり」(成美堂出版)という本。「狭い庭でも、駐車スペースの隙間などちょっとしたスペースでも、こんなに素敵になるんだ」と本を読んで納得。家族を巻き込んで、自分たちですることになったのです。

 メインは夫が長年望んでいた芝生です。アメリカ・シカゴ郊外の広い家に育った夫は、庭といえば芝生というイメージがあるのでしょう。そうです。あの、アメリカのテレビドラマに良く出てくる大きな家とスプリンクラーが回る広々とした芝生の庭です。

 でも、私が生まれ育った札幌ならまだしも、東京では庶民はあのような広い庭は望めません。我が家の庭は狭い。さらに、芝は環境を選ぶと言います。庭や玄関前の大きな木々の剪定を造園業者さんにお願いするたびに聞いてみましたが、3件の業者さんとも「日当たりが悪く、風通しも悪いので、芝は植えても育ちません」と否定的でした。

 育たないと言われた芝を安くない金額を支払って植えてもらう勇気はありませんでした。で、自分たちで植えることに。まずは、庭一面にうねうねと出ていた木の根を掘り起こして切りました。これは芝植えの下準備として私が担当。根を切るのは想像していたより力が入り、時間がかかりましたので、途中で電動のこぎりをインターネットで購入し、数日間かけてやりました。

 次にホームセンターで芝を購入。芝は拍子抜けするほど安く、25㌢×35㌢の芝10枚で約450円。私たちが購入したときは芝植えの時期も終わるごろでしたので、半額になっていました。

 芝は夫と息子が植えました。庭の土を掘り返し、肥料入りの土を混ぜ合わせて平らにし、その上に芝を載せて踏み固めるのです。

娘が担当したのはハーブです。小さなコンテナを買って、バジルとイタリアンパセリ、シソを。
 
 
 私の担当は、庭の片隅と駐車スペース横の花壇。本を参考に、「グラウンドカバー」と呼ばれる背の低い植物を植え、庭と収納庫の境にはアクセントとなる季節の鉢植えを置きました。
殺風景だった玄関前にはバスケットに入った花をかけてみました。夫のアイディアです。
駐車スペースの細長い花壇では、冬場から少しずつ植えてきた花々にいくつか花を加えました。
芝を植えた翌日から夫は朝晩、水やりをしています。庭仕事は、仕事のストレス解消にとても良いようです。そんな夫の姿をベランダから眺めながら、私は「どうぞ、芝がきちんと根付きますように」と天に祈るのでした。


 

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