2019年8月11日日曜日

大学院、今年度の前期終了!

 大学院の今年度の前期が8月5日に終了しました。30年ぶりの学生生活は戸惑うことばかりでしたが、何とか無事すべての課題を終えることができ、ほっとしています。


 私が今回、履修したのは5課目。一番苦労したのは、やはり、英語です。基本的に講義は英語で行われるのですが、医学専門用語が大変でした。病名、体の部位名、診療科名など耳慣れない語彙ばかりで、これらを理解しないと、講義そのものが理解できないのです。分からない単語を読み飛ばして全体像を把握するなどという手法は通用しませんので、辞書を使います。昔重宝した小ぶりな携帯用辞書は、字が小さ過ぎて読めない。電子辞書は、①開ける②電源を入れる③アルファベットを打ち込むーという手間が面倒。結局、スマートフォンで使える「英辞郎」というウェブ上の辞書に落ち着きました。

 次に苦労したのは、あの「パワーポイント」です。自慢ではありませんが、私は一度もパワーポイントを使ったことがありません。が、「医療倫理」のクラスで、各自テーマを選んでプレゼンテーションをするーという課題があり、発表時に使うスライドを作りました。グラフを作ったり、表を作ったり、参考にした論文から図表などを取り込んで張り付けたりなど、難しいことばかり。プレゼンテーションも事前に7回練習したのですが、時間内に終わらせようと早口になり、いまひとつの出来でした。他の人を見ていると、パソコンを見ながらゆったりと発表しており、”慣れ”は大切なんだと実感しました。

 このような苦労もありましたが、面白かったのは2本の期末レポートの執筆です。まず、自宅では海外の論文を読むのには手間と費用がかかりますが、大学に行けば、簡単にしかも無料で閲覧できます。基本的に分からないことを調べる、疑問点を掘り下げるということは好きですので、この調べるときの自由さがありがたかった。

 レポートの準備をしているとき、先生とのやりとりで、気付きもありました。「医療政策」という課目で提出したレポートです。テーマは自由。英語で2000語(A4で5、6枚)という条件です。先生からの指示は「自分の経験を盛り込むこと」。私が所属するのは公衆衛生学研究科で、学んでいるのは医師・看護師ら医療関係者がほとんどですので、彼らには十分経験があるでしょう。でも、私は医療を取材する側です。どうやって自分の経験を盛り込むの? 患者としての体験を書いてもレポートにはならないし、、、と恐る恐る先生に質問してみると、、、。

「そうです。あなた自身の経験を盛り込んでください」
「つまり、私は、、、という書き方でもいいのですか? 期末レポートに?」
「いいんです。自分の経験を盛り込んでくださいと指示する理由は、コピペを防ぐためなんです」
「コピペ?」
「いまは、なんでもネットで調べられる時代です。検索してコピぺしてレポートを仕上げるのは簡単なんです」
「なるほど、、、」

 「コピーアンドペースト」など、思い付きもしませんでしたが、言われてみればネット検索が容易になった今そういうこともあるのだと納得。自分の体験を盛り込んだレポートは、素人っぽい書き方のような気がしましたが、自分の患者体験の中から浮かび上がった医療政策上の問題点について、調べて提言するという内容にしました。

 今学期履修した5課目の中で、一番やりがいがあったのはプレゼンテーションで苦労した「医療倫理」の期末レポートです。期末レポートは、プレゼンテーションで選んだテーマを掘り下げ、海外での最新の研究やプレゼンテーション後のクラスでの議論を盛り込んで書くというもの。私が選んだテーマは、日本で議論が始まったばかりの「子宮移植」。海外の論文は目を見張るような内容ばかりで、勉強になりました。この期末レポートについては、先生からのフィードバックで「クラス、最高点です」というコメントをいただき、とても嬉しかった。

 「何で今ごろ大学院?」というよく質問を受けます。卒業後、職業に活かすことを考えると54歳での入学は遅いですが、人生という長いスパンで考えると遅過ぎることはないと信じたい。来学期は9月2日から始まります。とても、楽しみです。 

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