2018年11月24日土曜日

もう赤ちゃんじゃない

 手持ちのズボンが小さくなってきた息子を連れて、ベビー・キッズ用品の店「アカチャンホンポ」に行きました。ここは息子が赤ちゃんのころから利用してきた店。息子がサイズ120センチを着ていた昨年まで、ズボンや下着などを買いに行っていた店です。



 ズボンを置いてある、いつものコーナーに行きました。でも、ひとサイズ大きい130センチがない。そもそも、ここは120センチまでの品ぞろえだということに、そのとき気付きました。

「今はいている120センチより大きい130センチがないみたいだよ。もう、赤ちゃんじゃないんだね」
「ママ、じゃあ、僕、お店の人に聞いてくるよ」と、もう赤ちゃんでなくなって久しい息子が店員さんのほうに走っていきました。

 もう赤ちゃんじゃないー。私は自分の言った言葉に、胸がキュンと切なくなりました。そうなんだな、赤ちゃん用品店にはもう来られないんだな、と。こみ上げてくる寂しさと一緒に、ここに通っていたころの心躍る日々が蘇ってきました。

 私は46歳で息子を出産しました。そのまさしく”中年”の女性が、やっと生まれてきてくれた赤ちゃんをベビーカーに乗せ、ベビー用品の店で買い物をするのは、少し照れくさいような、でも心満たされる幸せな時間でした。

 小さなベビー服や下着、哺乳瓶・・・。どれもこれも可愛らしく、いとおしく、それらの買い物がどれほど楽しかったことか。自分の娘と言っても良いほど若いお母さんたちを見かけると、「きっと、私は孫を連れて買い物に来たおばあちゃんだと思われているだろうなぁ」と心の中で苦笑しながら、さっと自分の髪をなでつけたりしました。

 お腹がすいてきて泣く息子に授乳するために、店内に設置されている授乳室に行って、息子におっばいをふくませて、あやすあの幸せな瞬間ー。その店での思い出はどれも、キラキラと輝いていました。

 そんなことを考えていると、息子が帰ってきました。息子は運動が大好きなので、伸び縮みしないジーンズは苦手で、ここで取り扱っているストレッチ素材のズボンがお気に入りでした。だから、残念そうに言います。

「130センチはないんだって」
「そうなんだね。じゃあ、違う店に行くしかないね」

 そう答えながら、別のブランドの品物が置いてあるコーナーに行ってみました。すると、なんと、たくさんの商品の中に1枚だけ、130センチのズボンがあったのです。触ってみると、息子が好きな伸縮性のある素材でした。

「アカチャンホンポ」で買う最後の品物となったサイズ130センチのズボン
試着室で息子に着させてみると、ぴったりでした。息子も「これ、膝を曲げても痛くないからいい」と言います。で、それを買うことにしました。その日は、いつもは財布の中に入っていない、この店のポイントカードを持ってきていました。レジでそれを差し出しながら、「これを使うのは、今回が最後だなぁ」とまたまた、寂しくなりました。

 その店の見納めに、店を出て通路からざっと店内を眺め、スマホで写真を写しました。「これまで、ありがとう」。心の中でお礼を言い、息子の手を取り、駐車場に向かったのでした。

2018年11月22日木曜日

ハッピーハロウィーン 2018②

 今年もマイヤー家では、ハロウィーンイベントの第2弾として、パンプキン・カービング(かぼちゃ彫り)をしました。事前に仕入れたのは、直径約35センチの形の良いパンプキン2個。地元のイベントが終わった週末に、彫りました。

 パンプキン・カービングは娘が幼稚園のころから、娘の友達のご家族も招待しながら、毎年楽しんできました。どんなに忙しくても、ハロウイーンの10月31日までには行っていて、大きなパンプキンも軽井沢の農協まで探しに行き家族全員が彫れるよう最低4つは確保していました。

 が、さすがに私も夫も年を取ってきて、「出来るときに、出来る分だけでいいよね」ということに。去年は11月1日に5個彫りましたが、今年は子どもたちの分2個だけ用意し、彫ったのは11月4日でした。

 そうは言っても、カービングの楽しさは一緒。子どもたちは喜々として、キッチンのカウンターに新聞紙を敷き詰め、パンプキンを載せ、種を素手で取り出し、表面に目と鼻、口をマジックで描いて、ナイフでゴリゴリ。


 今夏、夏休み明けの新学期にスマートフォンを持ち始めた中2の娘は(ついに根負けし、買い与えました)、イヤフォンをして音楽を聴きながら、取り組んでいます。親としては、「こういう家族の行事のときはイヤフォンを外しなさい!」と言いたいところですが、楽しく参加してくれるだけで良しとしなければ、とその言葉をぐっと飲み込みます。



 息子はまだ手の力がないので夫が手伝いながら、カービング。そうやって、コワーイ、カワイイ、パンプキンの顔が出来上がったのでした。


 今年も満喫したハロウィーン。来年も子どもたちと一緒に楽しめることを願いながら、眠りについたのでした。



2018年11月15日木曜日

ポール・マッカートニーのコンサートへ 2018

 ポールは最高でした! 11月1日、東京ドームで行われたポール・マッカートニーのコンサートに夫と行ってきました。

 ポールのコンサートに行ったのは2015年、昨年に続き3回目。若いころからビートルズファンの夫に楽しんでもらおうと、今回もチケットは販売サイトに事前登録して、抽選を経て入手しました。

 小1の息子の世話は、中2の娘に頼みました。娘は「いいよ!ベビーシッター代は?」と条件付きで快諾。昨年は「大丈夫だよ。ちゃんとお世話出来るから」という可愛らしい答えだったのですが、中2にもなるとしっかりしてくるのですね。「じゃあ、千円でどう? 学校と公文の宿題もやらせてね」とこちらも条件付きで頼み、「OK!」という娘の弾んだ声で”契約”は成立しました。

 会社を早めに切り上げてくる夫とは自宅最寄り駅のホームで待ち合わせ、開演2時間前の午後4時半に東京ドームに到着。まずはあちこちで写真を自撮りし、ドーム前に設営されたグッズ売り場で、あれこれと迷いながら、夫はTシャツとギターを持つポールが全面に描かれたリトグラフ、私はトートバッグとプログラムを購入しました。

 グッズの購入を終え、ドームの外周エリアにあるメキシカン・ファストフード店「TACO BELL」で腹ごしらえ。メキシカンフードが大好きな私たちにとっては打って付けの場所で、ビールで乾杯し、タコスやファヒタを頬ばり、今回のコンサートについて話を弾ませました。プログラムを見ながらアメリカ人の夫が言います。

「見てごらんよ。今回のツアーはアジアでは日本だけだよ。日本は東京ドーム2回と両国国技館、名古屋まで行くんだよ。アメリカは1カ所なのに」
「去年に続いて、今年も日本に来てくれるなんて、ポールは日本が好きなのね」と少し得意げな日本人の私。

 ドーム内に入っていく観客の多くは私たちと同じ様な中年。腰が曲がっている母親の手を引きながら歩いている中年男性もいました。若いころビートルズのファンだったお母さんを連れてきたのでしょうか? その微笑ましい姿を見ていて、心が温まりました。
 
コンサートは「ア・ハード・デイズ・ナイト」で幕明け。「コンニチハ、トウキョウ、タダイマ」というポールの日本語での挨拶に、客席から大きな歓声が上がりました。

 ポールは素敵でした。観客に日本語を交えながら話し掛け、次々と往年の名曲を熱唱し、新曲の数々も披露します。70代でどうやってあのスタイルと歌声を保っていられるのでしょう。曲が始まるごとに、終わるごとに客席から歓声と拍手が鳴り響きます。ポールが一曲一曲を熱唱し、いとおしむように歌い上げているとき、観客も体を揺らしながら、歌を口ずみさながら、その瞬間を味わっていました。ポールと客席は一体となっていました。


 昨年5月のコンサートと違っていたのは、今年は写真撮影が許可されていたことです。が、写真を撮っている人はあまり見かけませんでした。観客の多くが、ポールの姿を見、ポールの歌声を聴くことに集中していたのだと思います。スマホは写真撮影ではなく、歌に合わせてライトを振る場面で使われました。「スマホはこんな素敵な使われ方をするんだ」と私にとって驚きでした。見渡すと会場全体がキラキラと揺れて輝き、それは美しい光景でした。



 そして、「ヘイ・ジュード」。ポールが歌い終わり、観客が伴奏に合わせて「ラー、ラーラー、ラララッラー」と歌うところでは、ポールが客席に「ジョセイダケ」と呼び掛け、女性の観客だけで歌う場面もありました。男性が混じる力強い声とは違った、透き通るような声が会場全体に響き渡りました。


 アンコールの数曲を歌い終わった後、ポールが「モウ、ソロソロ・・・We should go home」と言い、会場全体に笑いが広がりました。そして、また会いましょうのポールの締めの言葉で、夢のような時間が終わったのでした。

 コンサートの余韻を楽しみながら、ドームを出た後は昨年と同様、近くのイングリッシュパブに寄りました。ドーム内の興奮とは打って代わって、仕事帰りの人たちが静かに、テレビに映ったプロ野球の日本シリーズを観戦していました。この光景も、勤め人ではない私にとっては非日常の世界。その雰囲気を楽しみながら、ビールを飲み、「フィッシュ アンド チップス」をつまんで、終わったばかりのコンサートについて夫と語り合ったのでした。


 娘に電話をすると、「宿題も終わったし、お皿も洗ったよ」とのこと。しっかり者のお姉さんになった娘を頼もしく感じながら、私たちは早々にビールを飲み終え、家路に付いたのでした。

2018年11月5日月曜日

ハッピーハロウィーン 2018

 子どもたちが楽しみにしている季節の行事の一つ、ハロウィーン。今年も最寄り駅近くの住宅街で開かれたイベントで、たくさんのキャンディをゲットしました。

 今年もパンプキンの形をしたキャンディ入れを準備して、この日を迎えました。着て行くコスチュームは、息子がスター・ウォーズの登場人物「ダースベイダー」、娘はギリシャ神話に出てくる女神です。


 

すっかり、ダースベイダーになり切っている息子
このイベントには、娘が幼稚園生のころから毎年参加しています。住宅街のあちこちの家の前にキャンディを置いてくれており、子どもたちが地図を見ながら家を探してキャンディをもらうのです。

 外国人が多く住む地区で、ずいぶん前に有志でスタートしたそうです。以前は有志の方々がご自分でたくさんのキャンディを用意してくれていました。ここ数年、参加者が多くなったため、参加する子ども1人につき2袋のキャンディやチョコレートをお母さんたちが事前に主催者のお宅に持っていく形になりました。持っていくお宅は毎年変わりますが、主催者から直接届け先を聞いたお母さんや、郵便受けに入っていたパンプレット(子供がいそうな家に配布するのでしょうか)を見たお母さんが友達に知らせる形で、情報が地域一体に伝わるようなのです。子供たちの参加は自由ですので(事前にお菓子を持って行っていない家庭の子供ももちろん参加できます)、子供がいる家庭にとっては、本当にありがたいイベントです。

 さて、日も暮れて、駅前にたくさんの子どもたちが親に連れられて集まってきました。息子も事前に約束した幼稚園時代のお友達5人と駅前で集合。私も付き添っていくと、近隣の幼稚園、小学校のお母さんたちなど、たくさんの顔見知りに会いました。皆、楽しそうな表情であいさつをし合います。

 キャンディをもらえる家の場所が描かれた地図をもらって、さあ出発。今年は40件近くの家がキャンディを置いてくれていました。工夫を凝らている家もあり、一緒に歩く親も楽しめます。


 娘は学校のお友達を誘って、参加しました。女神の衣装はシーツ、頭に被ったオリーブの葉は百円ショップで買ったもの。キャンディをもらうために並ぶ娘は他の子どもたちより頭2つ分大きい。中2で身長175センチ、足27センチの娘。ハロウィーン・イベントに参加するには大きい過ぎるような気がしますし、お菓子をくれるおうちの方より背が高かったりするのですが、このようなイベントに喜々として参加する子供らしさをまだ持っていてくれて、遠くから眺める親としてはとても嬉しいのです。


 娘と幼稚園や小学校が一緒だったお友達のお母さんたちにもあちこちで会いましたが、そのお友達はもうだれも参加していませんでした。お母さんたちは皆、下の子どもを連れての参加。あるお母さんが、娘が小さいころと同様仮装をして参加している姿を見て、「前と変わらず楽しそうにしているのを見ると、嬉しいね」と言ってくれました。そう、お母さんたちは、自分の子どもが子どものイベントに興味を示さなくなるのを、ちょっぴり寂しく思っているのです。

 私がいつも食料品を買っている駅横のスーパーでは、12歳以下の子ども限定でお菓子が入った袋をくれます。もらえる条件は、仮装をしていること、「Trick or Treat (トリック オア トリート」と店員さんに言うこと。去年お菓子をもらえた娘は、店の外で息子たちがもらう姿を見ています。娘のお友達は小柄なので、「きっともらえるよ!」と娘や私に言われて店内に入り、ちゃんともらってきました。「こんなに背が高いからね、キャンディはもらえないよね」と少し残念そうに、苦笑いしながら言う娘を見て、かわいそうに思ったりもします。でも、あちこち回って入れ物いっぱいにキャンディがもらえたので、十分です。


 夫も途中から参加しました。忙しくてご飯の支度をする時間がなかったため、夫と相談してこの日の夕食はケンタッキーフライドチキンにすることにしました。皆、考えることは一緒らしく、夫によると店の前には長い行列ができていて、いつもはすぐ買えるチキンも30分待ちだったそうです。

KFCの「バーレル」もハロウィーンの模様付きでした