2016年7月3日日曜日

梅の季節

 梅の季節です。スーパーの陳列棚に青梅や南高梅が並び始めると、気持ちがワクワクします。梅酒、梅シロップ、梅酢・・・。この時期に仕込むと、年間を通して楽しめる梅は家族が大好きな食材です。
 

 梅酒は炭酸水で割って、夕食時にいただくのが何よりも楽しみです。1㎏の青梅に600~800gの砂糖、1・8ℓのホワイトリカーを瓶に入れておくと約3カ月で出来ます。一瓶は、翌年の梅の季節になるずっと前になくなってしまいます。

 梅シロップは子供たちの大好物です。青梅を一旦凍らせてから同量の砂糖と一緒に瓶に入れるだけで出来ます。昨年の娘の誕生日会で、アメリカ人や中国人のお友達に炭酸水で割って「梅ジュース」として振る舞ったところ、大好評でした。気を良くした私は、今年もたくさん買い込み、洗ってヘタを取る下処理を終えてからジップロックの袋に小分けし、冷凍庫に保存しました。

 南高梅と砂糖、米酢で作る梅酢は夫の大好物。オリーブオイルと黒コショウと合わせてサラダドレッシングに。餃子のたれとして、醤油とラー油に少し加えると、とても美味しくいただけます。その他、様々なお料理に隠し味として使います。

 簡単に出来るこれらの保存食に比べ、梅干しは手間がかかり、ちょっとした加減で出来に大きな差が出ます。3年前、ちょうど梅の時期に訪れた母に教えてもらい漬けたのですが、乾燥気味であまり美味しくなく、娘と夫に不評でした。母からは毎年、しっとりとした美味しい梅干しが送られてくるので、それが先になくなり、私のはずっと冷蔵庫の棚に置かれたまま。仕方なく、刻んで生野菜やゆでた野菜にからめたりして、何とか使い切りました。それ以来すっかりやる気をなくしましたが、母からは毎年美味しい梅干しが送られてくるので、「自分で作らなくてもいいわ」と思っていたのです。

 ところが、です。今年、母から「もう、今年から梅干しは漬けないわ」といきなり宣告されたのです。肩が痛く、重石を持つことが出来なくなったのが理由です。「母の梅干しがもう食べられなくなる」ー。こんなに寂しいことはありません。 母には「これからは、睦美が漬けてね」とあっさり言われましたが、本当に動揺しました。
 
 それでなくても昨年末には、「もう、今年から送らないからね」と黒豆や紅白ナマス、ボタンエビの塩ゆでなどのおせち料理が、これも突然の宣告でなくなったばかり。 母から渡された「レシピノート」にはそれらの料理の作り方が書かれていましたが、見慣れた母の字を見て、「もう、母のおせち料理が食べられないんだ」と、ずいぶん落ち込みました。

 先日夫が、冷蔵庫から梅干しのケースを取り出してふたを開け、一粒取って、ご飯の上に乗せながら、ぽつんとつぶやきました。
 「来年から、オカアサンの梅が食べられないんだね。寂しいな。今度は僕が作ろうかな」-。
 
 「おふくろの味」は意外にも、料理好きの娘婿に引き継がれるかもしれません。
 



 

 

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