2016年5月3日火曜日

IL DEVO コンサート

 夢のようなひとときでした。男性4人組ヴォーカル・グループ、「IL DEVO(イル・ディーヴォ)」のコンサートに行ってきました。日本武道館で開かれたそのコンサートには、母を連れていきました。母娘は美しい男性たちの、美しい歌声に酔いしれました。

 「母の日のプレゼントに」と札幌でひとり暮らしをする母と一緒に行こうとチケットを購入したのは、もう数カ月も前。母に伝えると、とても喜び、この日を楽しみにしてくれていました。

 「IL DIVO」のことを知ったのは、4、5年前になるでしょうか。 新聞の夕刊に彼らの特集が出ていたのを読み、興味を抱いたのです。グループは2003年結成、2004年イギリスでデビューしました。出身国がスペイン、フランス、スイス、アメリカとそれぞれ違い、かつ、グループ結成前に各自がすでに音楽活動をしていたことに興味を持ちました。また、スーツを着て歌うという正統派の雰囲気や、魅力的なルックスにも惹かれました。

 早速、CDとDVDを購入。オペラ歌手のような圧倒的な声量と広い音域で、ポピュラー音楽を歌い上げる彼らの音楽に、感動しました。その感動を分かち合いたいと、母と義母、友人たちにCDをプレゼントしました。ですので、今回は念願のコンサートだったのです。

 生で見る彼らは、写真で見るよりもずっと素敵でした。彼らの声は、CDで聴くよりずっと迫力があり、美しかった。一曲一曲を全力で歌っていることが観客にも十分伝わり、それが、観客を引きつけました。観客を喜ばせることに徹したパフォーマンスが、観客の心をつかみました。
 
 4人は「MY WAY」など、多くの人の耳に馴染む曲をしっとりと歌い、ラテン音楽はキレの良い踊りを披露しながら、魅惑的に歌いました。会場は私が若いと感じられるほど、年配の女性が多かった。多くの人が、「IL DIVO」と書かれたペンライトを振りながら、一曲一曲にうっとりと聞き惚れていました。彼らが日本の童謡「ふるさと」を歌ったときは、母も私も、周りの観客も皆一緒に口ずさみ、会場が一体になりました。

 観客の”静かな”熱狂は衰えることなく、コンサートは休憩時間を挟んで3時間近くになっていました。そして、彼らが「最後に」と歌ったのが、おそらく多くの人が待ち望んでいたであろう「TIME TO SAY GOODBYE」でした。この歌が終わったとき、78歳の母がよろよろと客席から立ち上がり、「ブラボー」とステージに向かって、何度も叫びました。私は、その母の姿を見て、目頭が熱くなったのでした。

 さて、コンサートが終わり、興奮が冷めやらないまま、私たちは帰路につきました。自宅に戻り、椅子に座って、プログラムを読みながらコンサートを振り返っていたとき。母が顔を保湿クリームでピカピカにさせながら、私のところに現れました。

 「見て、肌がつやつやなの」
 私の方に顔を寄せてきます。いきなりの登場で、私は一瞬どう反応して良いか分からず、気の利いたコメントができませんでした。母は続けました。
「やっぱり、酔いしれると、ホルモンが出るんだねぇ。何て言ったっけ、こういうときに出るホルモン。そうだ、セレトニンだよ。セレトニン。ほらっ、さわってみて。つやつやだから・・・。こんなこと初めてだよ。あんな素敵な歌を聴いて、セレトニンが出たんだねぇ」

 IL DIVOと母に、圧倒された夕べでした。

 

0 件のコメント: