2022年7月18日月曜日

家庭科授業で輝く男子

  息子は輝いていました。クラスで一番生き生きとしていました。調理方法を学ぶ家庭科の授業で、です。

 娘がイギリスに旅立った日の朝、地元の公立小5年生の息子の家庭科授業の補助ボランティアをしました。学校でのボランティアは、元気の良い子どもたちを見るだけで心が癒されますし、息子の様子も見られるので、とても楽しみなのです。

 この日、5年1組の32人は16人ずつ2組に分かれて、家庭科室でじゃがいもの調理法を学びました。

子どもたちが調理法を学んだ家庭科室

 ボランティアのお母さんは私を入れて3人。私たちの役割は事前にじゃがいもの皮をむき、半分に切って小鉢に入れて水に浸しておくこと。バターを小さく切って、容器に入れておくこと。そして台ふきや調理用具を作業台に置いておくこと。下準備が終わったら、調理をする子どもたちを手伝います。

 まず、1組目の子どもたちが元気よく家庭科室に入ってきました。息子のお友達もいます。子どもたちはジャガイモを10等分にして、フライパンでゆで、竹串で柔らかくなったことを確認してから、お湯を捨てます。そして、そのフライパンにバターを入れて、ゆでたジャガイモを炒めて塩コショウをします。

 じゃがいもをゆでている間、まな板と包丁を洗って仕舞うように先生に言われているのですが、皆、じゃがいもに集中して、調理用具を洗うことまで気が回りません。まだ硬いじゃがいもに竹串を何度も刺したり、菜箸でぐるぐると回したり…。切ったジャガイモの大きさが違ってしまい大きな固まりがなかなかゆで上がらなかったり、ゆであがったジャガイモを取り出すのに手間取る子もいたり…。本当に楽しくて、手伝う私の心も一緒に弾みます。

 子どもたちを日々教えるのは苦労することもあるでしょうが、小学校の教師の仕事はとてもやりがいがあり、楽しいのではと学校の様子を見にくるたびにいつも思うのです。

 調理し終わったジャガイモを食べて、食器を洗い、片付けを終わった1組目と入れ替わりで、2組目が入ってきました。息子はこの2組目にいます。

 「先生、ジャガイモを入れるお弁当箱を忘れてきましたので、食べられません!」と早速、息子が発言します。しまった!お弁当箱を持たせるんだっけ?そんなことお便りに書いてあった? 私はまた、確認忘れをしてしまったようです。

 有難いことに、先生はにっこり笑って「大丈夫ですよ。お皿を使ってください」。他に何人か忘れた子がおり、「うちの息子だけでなくて良かった」と胸をなで下ろす私。

 でも、ここから息子は挽回しました。手際よくジャガイモを切り、クラスで一番早くにゆで始めました。ゆでている間にまな板と包丁を洗って、片付けます。ジャガイモがゆで上がるのも、バターで炒めるのも一番最初。ジャガイモに程よい焦げ目をつけて塩コショウし、一番最初に食べ始めました。他の男子から「マイヤー、早っ!」と声がかかります。この間の息子の動きの良いこと。テキパキとしていて、惚れ惚れするほどです。

 授業参観では、全く発言しないので見ている私もやきもきしてしまうのですが、勉強があまり得意でない子どもが輝ける場があるのですね。息子の場合はこれまで運動会でしたが、家庭科の授業でも輝けるのだと分かったので、本当に嬉しかった。

 クラスで一番最初に食べ終わった息子は食器を洗って片付け、クラスメートを助けます。あちこちに散らばった塩コショウをまとめて、所定の場所に戻します。各調理台の上に置かれていた「行程表」を全部回収して、先生に渡します。台ふきで調理台を拭き、食器洗いなどに手間取っているクラスメートの調理台も次々と拭いていきます。

 「我が息子、なかなかやるぞ!」と誇らしく思うとともに、「こういう家事が出来る男子は、将来、家事が全く出来ないお嫁さんを連れてくるんだろうな」と遠い将来をちょっぴり憂いたりします。

 ワイワイガヤガヤの家庭科授業が終わりました。授業の後先生とお話をして、秋にはミシンがけをすることが分かりました。このときもボランティアを募集するようですので、また、お手伝いをさせていただきましょう。楽しみが出来ました。

 塾での成績が悪く、自信を失っている息子の生き生きとした姿を見られて、心から安堵した一日だったのでした。

 

 

 

 

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