2017年6月6日火曜日

ついにこの日が・・・

「ねえ、背伸びしているの?」
朝、洗面台の鏡に向かって娘と並んで歯を磨いているときに聞きました。娘の顔が、私の顔よりずっと上に映っていたからです。
「してないよ」と娘。「本当?」と疑いながら娘の足元を見ると、かかとがしっかりとフロアについています。

 私は鏡をまじまじと見ました。小顔で首がすっきりと長い娘に比べ、横に立つ私はずんぐりむっくりとした体から伸びる短い首に大きな顔がくっついていて、それはバランスが悪い。「まあ、いいか。バランスが悪いまま52年も生きてきたんだから」と、鏡に向かって”諦め顔”を作ります。

 「背測ってみる?」。鏡の中の娘に聞いてみました。「うん!」と娘が元気に答えました。リビングの壁に娘を立たせて、巻き尺を伸ばして測ってみると、なんと165cm。私よりも5cmも高い。どうりで、背伸びをしているように見えるはずです。

 「ついにこの日が・・・」と、娘の背が私を追い越したことに気が付いたのは半年前。それも、今回のように、洗面台の鏡に向かって歯を磨いているときでした。それからあれよあれよという間に差が広がりました。夫は身長195cmですので、体形が夫に似ている娘の背はもう少し伸びるでしょう。本人は「180cmぐらいにまで伸びればいいな」と希望しているようですので、どうせならそこまで伸びるのを期待したいところです。

 背が伸びるのに伴い、足もサイズも大きくなっています。今は26cm。もちろん、日本では中1の女子が履くような、シンプルでフラットな靴は探せませんので、アメリカに住む義母に送ってもらっています。「もうそろそろ、止まってくれれば良いのだけれど・・・」と、送ってもらったばかりの新しい靴が小さくなるたびに、ため息が出ます。娘の足のサイズが、私のサイズ(24cm)より大きくなったのは、娘が小学校4年生のとき。あのときは感慨深いものがありましたが、娘に越されていくのも、慣れてきました。

 先日、娘の学校のママ友達に、娘の身長の話をすると、逆の話をしてきました。その人は白人のアメリカ人。背も高い。彼女が言いました。「中3の息子の身長が、まだ私より低いのよ。もう少し伸びてくれれば良いのだけれど」と少し困った顔で言いました。彼女の夫は小柄なアジア人。アジア人の血を引くと、たとえ片方の親が大きくても、背が小さくなるケースもあるのでしょう。

 さて、子供の成長が早い時期は、いろいろなものが間に合わずに、困ることがあります。今年の2月、娘が学校のスキー旅行に行ったときです。昨年のスキー旅行のときに準備した、ユニクロの厚手の女性用ソックスが「小さくて、かがとがきちんと入らないの」と言います。前日の準備でもう時間がない。窮余の策で思い付いたのが、夫の靴下です。夫のクローゼットの引き出しを開け、何回か洗って縮んだ靴下を引っ張りだしました。

 夫の靴下を娘に履かせるー。そのときも「ついにこの日が・・・」と苦笑しました。もちろん、”お年頃”の娘にはその事実は言いません。何せ、夫の靴サイズは31cmなのですから。

 「ママの靴下、大きくて履いてなかったの。これはどう?」
 嘘も方便です。履いてみた娘は「ちょうど良いよ、ママ。ありがとう」と嬉しそうな表情でスキー旅行の荷物詰めを続けました。

 乙女心を傷付けずに、乙女サイズをすっかり越してしまった娘に、無難に対処する。「母親の手腕は、こんなところでも問われるのだわ」と私は心の中で胸を張ったのでした。 

 

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