2025年11月7日金曜日

博論提出

  今日、大学に博士論文を提出しました。辛いことが多かった博士課程でしたが、目標としてきた論文提出ができ、ほっとしています。

 私が目指すのは医学博士です。私は医師など医学のバックグラウンドがなく、あるのは公衆衛生学の修士号と、新聞記者時代に医療記事を書いた経験のみ。その代わりに長い患者経験があり、その経験が医学博士を目指すバックボーンとなっています。

 取り立てて何かをなし得た人生ではありませんが、がんと生きてきた20年以上の人生の集大成として、「がん患者と医療者とのコミュニケーション」についての論文を、60歳で大学に出せたことに、改めて感謝をしています。

 最初の指導教員に問題があり、退学を真剣に考えました。が、2年目から現在の指導教員に引き受けてもらい、なんとかここまで来ました。

 現在の指導教員は畑の違う私を引き受け、面倒だったのだろうと想像しますが、私に対してはプロフェッショナルに徹した対応でした。まず、私の関心のあるテーマの研究チームに入れてくれました。超多忙なので話をするのは年に数回ですが、論文を送れば必ず見てくれましたし、必要な書類には印もサインもすぐくれました。

 用事以外の話も、雑談も、挨拶もしてくれたことはありませんが、私が本格的に論文を書く段階で大変優秀なMさんという研究員を私の指導係につけてくれました。Mさんからも用事以外は話しかけられたことも、雑談をしたこともありませんが、私が質問をすると必ず答えてくれました。「少しお時間いいですか?」と論文に関する相談を持ちかけると、一度も「後で」と言われたことはありません。

 また、100ページ近い論文を送っても、数日後にはA42枚に渡る助言を箇条書きにしてメールで送ってくれました。その助言は大変的確で、Mさんの助言通りに文章を組み替え、不足な部分を加えると、論文がとても引き締まりました。そのような優秀な人を、私の指導係につけてくれるということは、指導教員は学位を取るまで私をサポートしようと思ってくれたのだと思います。

 私の先攻は社会医学で、博士課程1、2年には講義も受けました。受講した医療コミュニケーション、臨床疫学、医学研究デザイン、医療社会学、医療統計学はどれも、素晴らしい講義でした。教授陣は超一流でした。私は各講義のスライドを折々に振り返り、必要があれば参照しました。

 いろいろ大変なことも多かったですが、このような各分野をリードする人たちの指導を受けることが出来た私は、たいへん恵まれていたと思います。

   今後は審査会に向けて、スライドの準備です。もうひと踏ん張りします。


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