2025年11月10日月曜日

嬉しかった娘の言葉

  博士論文を大学に提出し、ようやく少し気持ちが落ち着きました。次のステップは、教授ら5人にプレゼンテーションをし、質問に答える「審査会」。でも、とりあえずは、山を一つ超えました。

 そこで、土曜日の午後に息子と一緒に新幹線で軽井沢の家に行きました(夫は先週から滞在)。紅葉が見頃で、それは綺麗でした。翌日、東京に戻りました。一日でしたが、リラックスできました。

窓から見える美しい紅葉

 月曜日の今日は、審査会用のスライドを作る傍ら、家の中に積み上がっていた物の整理を始めました。しかし、整理整頓しようとしたのですが、何から手をつけていいのか分からない。娘の着物の案内や息子の塾の説明書など、とっくの前に期限が過ぎたものは処分出来ましたが、手に取っては「これ、どうしよう」と考え込んでしまう物が多過ぎました。

 一旦手を置き、グーグルで「片付け、何から手を付けていいか分からない」と打ち込んでみました。出てきたのが「居場所がない物たち、ありませんか?」とタイトルがついたサイト。そこには、「家の中に、どこに片付けていいか分からない物はありませんか?片付かない物問題を、片付けのプロの●●●●先生と解決していきます」とありました。

 その「居場所がない物たち」という言葉に、反応してしまいました。「あっ、私のことだ」と思いました。7年近くアカデミアの世界にいて、居場所を見つけられない自分。居場所がない人間が、居場所のない物たちを片付けることに、そもそも無理があるーと苦笑しました。

 なんだか自分がとても滑稽に思えて、片付けをやめました。そして、娘にフェイスタイムで連絡を取りました。テスト期間中は連絡が取れなかった娘ですが、今日は出てくれました。ちょうど、夕ご飯を食べるところでした。ひとしきり他愛のない話をした後、先ほど感じたことについて話してみました。

 「今日、片付けが進まなくてグーグルで検索したら、居場所がない物たちという言葉が出てきたの。で、あっ、ママのことだっておかしくなってしまったの」

 すると、娘が真顔で言いました。

「何言っているの、ママ。うちの家族はママがいなければ回らないんだよ。ここを居場所って言わずにどこが居場所になるの?」

「そう? ありがとう。そう言ってもらえると、嬉しい」

「ママぁ。ママはさ、ばあち(私の母)の娘で、ダディの妻で、私たちのお母さんなんだよ。それぞれが大変なのに、その3役を1人でこなしているんだよ。居場所がないどころか、ママがいなきゃ、家族は回らないの!」

 すぐ、しゅんとしてしまう私を、娘はいつもこうやって励ましてくれます。娘は本当に心の優しい子で、娘のあたたかい言葉にどれほど救われてきたことか。

 今日は他の博士課程の学生(何で、皆、こんなにすごいの!)と審査会の打ち合わせをして、すっかり気後れをして落ち込んだ私。娘のひと言で何とか気持ちを立て直すことが出来たのでした。 


0 件のコメント: