ママ友とランチをしました。息子の幼稚園時代のお友達のお母さんで、8月に天国に行ってしまったゆきちゃんと、他の仲良しのママたちとランチをしたり、お茶をしたり、ハロウイーンのイベントに行ったり、花火をしたり、と子どもたちが卒園した後も親しくしています。
ゆきちゃんが亡くなってから時折電話で話をしたり、ラインをし合ったりしていますが、二人ともまだ、ゆきちゃんの死を受けとめられずにいます。
ゆきちゃんと一緒にお茶したパン屋さんやカフェの前を通ると、当時を思い出し、胸が苦しくなります。その友達も同じ気持ちでした。私たちでさえそうなのだから、ご主人や子どもたちはどれほど悲しい寂しい思いをしているだろうと、話しました。
友達とはゆきちゃんのこと、仕事のこと、子育てのこと、たくさん話をしました。その友達には私と同様娘と息子がいます。私たちにとって息子の子育ては比較的単純で、無口になってしまったとか、勉強しないとか、部屋が散らかっているとか、壁に穴をあけたとか、そういう話題に終始します。そして、だいたいが苦笑いで終わります。
でも、娘の子育ては同性がゆえに共感することも多い一方、気を遣う部分も多く、そして自分と母親との関係性が良くも悪くも、娘と自分との関係性に色濃く反映しますので、話も深くなります。
で、ひとしきりそんな話をした後、友達に最近読んだ本を薦めてみました。ベストセラー作家・湊かなえさんの「母性」です。
実はこの本は、親友に前から薦められていた本でした。あらすじをネットで調べると、これを読むと自分のメンタルの状態が不安定になるかもしれないーという予感があり、なかなか手が出ませんでした。でも、親友が「娘に共感するところが多かった」と言い、「これまで読んだ本の中で3番目には入ると思う」と再度薦めてくれたので、文庫を買い、読んでみました。
読者をぐいぐいと物語の中に引き込んでいく力のある小説で、2日間で読み切りました。話は高校生の女子がマンションから転落する事件から始まります。自殺か転落かーと世間から好奇の目で見られる中、母親が事件に至るまでの心の内を神父にさらけ出していきます。娘の心境も詳細に語られていきます。母親の娘への態度や家庭内での出来事についての、母の思いと娘の思いや受け止めが全く違います。そこには"第三者”の視点もあり、物語は複雑に交錯します。
読了後の感想は、その母親が私の母に、娘が私に似ているということでした。また、新たな気づきとして、私の母の祖母に対する思いは、物語の母親の自分の母に対する思いと似ているのではないかーということでした。
物語の中で語られる内容は重いですが、最後は母娘が穏やかな普通の母娘の関係性に落ち着き、そこに救いがありました。読後にざわざわとした感覚が残らないのが良い。
友達はランチの帰り、さっそく買ったと言っていました。彼女がどう受け止めたか、次に会ったときに感想を聞くのが楽しみです。
0 件のコメント:
コメントを投稿